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――男魂快楽地獄責め 戦慄のマルチプル・オーガズム研究所
ドライ・オーガズムというものすら全く知らなかった自分からすると正直、半信半疑の中で始まった撮影でした。
決まっていたのは、男のケツイキビデオを作るということ、ドラマ部分のシナリオはベイビーエンターテイメントのKoolongが書くということ、前立腺の技術指導としてアナルフレンズの風間蘭さんを使うということ。それだけです。

女優は当時、人気絶頂の管野しずか。長い黒髪に吸い寄せられるような瞳を持つ女優さんです。
会うのはこれが初めてでしたが、話すととても頭のいい女優さんで、文学少女だったらしく、川端康成や三島由紀夫が好きだったと言ってました。なるほど彼女にはピュアな陰りの部分と蠱惑的な官能部分が併存しているなぁと思いました。
実際、話している限りではおとなしそうな雰囲気でいたのが、いったんカラミが始まると狂気のオーラを身にまとい始めます。
今、思えばそういうところがこの作品の主題にもぴったりだったかもしれません。

 

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この作品は冒頭、こんな感じのテロップで話が始まります。

カラダの感覚が
女のように、なっていた。

ある日ある時、男が遭遇した衝撃の体験
今まさに、男の魂と身体が改造される!

見た事のない…、
驚天動地のパニック映像

もう、男になんか戻れない…?

この作品はドラマ仕立てになっていて、2人の男性が登場します。
1人目はWEB系ベンチャー企業の社長の男。
2人目はヤリチンの大学生。
どちらも強い男性性をあらわすキャラクター設定です。普段は男らしく威勢のいいところを見せていますが、そんな2人であるからこそ実は内面にものすごく女らしい部分があるのではないかというところがポイントです。

ドラマではサングラスをした管野しずかとすれ違い、管野から放つ催眠光線のようなものをあびて意識を失います。
そして目覚めた世界は黒部屋、鉄パイプで組んだヤグラ、白い光源のベッド。そこに寝かされる男。手術着の女性2人に、白衣の管野しずか。しかも白衣の下は赤いセクシー下着。
手術着を着た女性はアナルフレンズの風間蘭とその助手。

今だから明かしますが、1人目のIT企業の社長役をやってもらった方は、その当時、現役のプロ格闘技の方でした。実に見事な筋肉質の身体です。撮影の日程も彼の試合の兼ね合いが考慮されて撮られました。

そんな彼に前立腺の施術をほどこしていきます。
これがマルチプル・オーガズムの最初の撮影でしたが、私たちとしてはどこまでドライが決まるかわかりませんでした。
女性に置き換えてみればわかりますが、最初の性体験からオーガズムを迎える人など希でしょう。
もう一つ自分が半信半疑であったのは、アナル性感の店ではイクがあるにしても、衆人環視の撮影現場で本当にイクことはできるのだろうか? ということでした。
しかも最初の男性は撮影経験がない素人さんと言ってもいい人です。撮影慣れなどしていません。

この解説を書くに当たり、当時の作品を見直してみました。
確かに呼吸は乱れ、声もあえいではいます。ただこの映像からお尻だけで気持ちよくなっているかどうかははっきりわかりません。それはマルチプル・オーガズムだからということも大きいです。
マルチプル・オーガズムというのはドライオーガズムだけでなく、ありとあらゆるオーガズムをマルチに感じるオーガズムです。前立腺に重きを置いてはいますが、最後は女性イキで終わるのでなく、男性として終わってほしいという風間さんなりの思いがそこにあります。
したがってこの作品は前立腺だけではなく、ペニスでの手コキも重要な要素になっています。しかもその手コキをしているのは管野しずか。こんな魅力的な女性に間近に見られ手コキやフェラチオをされて、感じないわけはありません。

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そんな感じで最初のコーナーは終わりました。
風俗店であればこれでもいいのかもしれません。ある意味リアルな反応です。
でもやはりこれはAVなので、映像を通して見ている人にもう少しわかりやすいものにしないといけません。
それで自分は二村監督に提案をしました。
「やはりここは管野しずかに言葉責めをしてもらいましょう。男性にももっと言葉で表現するようにしましょう」

当初、風間蘭さんからはなるべく黙ってやるという指示が出てました。言葉によって脳が反応しすぎて身体からの純粋な刺激の妨げになるという話でした。
でも一発にドライオーガズムを決めるには、言葉による誘導が必要な気もしました。
なによりAVとしては言葉がどうしても必要だと考えました。

2人目のヤリチンの大学生はAV男優のナカノ君です。
その当時はまだまだ若手でしたが、エロいことに好奇心旺盛な将来有望なAV男優さんでした。

「どんどんきもちよくなっちゃうでしょう。ねぇ。お尻気持ちイイの? ねぇ」
「チンポ、触ってないのにビクンビクンしちゃって…」
「さあ、もっとイヤらしい顔見せて。いい声で鳴いて。もっと、もっともっと、もっと気持ちよくなって」

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言葉責めでリズムがでてきたのか、管野さんの愛撫も耳を撫でたり、肩甲骨を舐めたり、縦横無尽です。四つん這いにするといつのまにか陰茎から汁がダラダラ垂れてきます。
それを潜り込んで管野しずかがカパッと咥え、頰をへこましてジュルジュルジュルーとバキュームフェラします。
顔騎からシックスナイン、しつこいぐらいのキスと手コキ。じゅうぶん高まったところで騎乗位挿入。男は両手を拘束具でつながれいます。
そして「きもちいい、きもちいい」とあえぎます。
そんな男をあの魅惑的な目で見つめる管野しずか。
口元はだらしなく開かれ、ベロをちらつかせてあやしく笑います。
そうやって楽しんでいるとそこにもう一つの手が出て、挿入したままお尻に器具をいれます。前立腺をうまくヒットさせるとペニスが膨張して屹立していきます。

「気持ちいい? どこ、どこ、どこ、気持ちいい? チンチン? ケツマ○コ? ケツマ○コ、どうなってるの? ケツマ○コ、なにが入ってるの?」

腰を振りながら管野がいいます。

「ケツマ○コでいっぱい感じちゃっていいの。そう、もう男のコでも女のコでもいいのよ、気持ちよければ」

そしてつながったまま強く唇を奪います。

「ケツマ○コで感じちゃっていいのよ」

そしてここから下半身は完全にアナルフレンズに任せて、管野しずかは男性の頭をかき抱き、ひざまくらしながら常になにか言葉をかけていきます。

「おかしくなっちゃう? んんっ、おかしくなって」
「んん、そう頭のてっぺんからつま先までぜーんぶ気持ちいい」
「こっち見て、こっち見て。そう、そう、きもちいい?」
「ああ、いっぱい気持ちいいね。そう。こっち見て、こっち見て。こっち見て。目を開いて。そう」
「うんうん。自分が男のコか女のコかわかんなくなっちゃうねぇ」
「気持ちいいのがチンポでもケツマ○コでもどこでもきもちいい」

見事な誘導です。これにより男性としての自我を手放せたのか、一気にドライオーガズムへと突っ走っていきます。
これは傍目で見ていても明らかに男のオーガズムとは違う反応でした。

男はむずがる子供のようになり、管野しずかの母性に包まれていくかのようです。
しかも何度も何度も繰り返しオーガズムの波が来ているようで、現前にして疑いようのないマルチプル・オーガズムを見る事ができたのです。

最後に出てくる管野しずかの顔がとにかく印象的です。

もしこの作品が成功しなければ、今日、MotheRsというメーカーはなかったかもしれません。
売り上げの方もMotheRs制作の2本目にして大ヒット。DMMのダウンロード販売ではその後、半年ほど100位内をキープしていました。
監督兼社長の二村ヒトシは「AVの神様が、当分はAVを作り続けていいよって言ってくれたんだよ」とよく口にしたものです。

そんな意義深い作品なのですが、実は企画段階では最初から狙って作ったものではありません。
当時、MotheRs制作第一弾の『紅蓮のアマゾネス』はヒットしていたものの、豪華な出演陣と1日で納まらない撮影日程ということもあって制作費がかさみ、早くも運転資金を圧迫しはじめたという経緯もあります。
できるだけコンパクトに予算を抑えて男がイクビデオをつくる。
その結果、余計な部分がそぎ落とされて、MotheRsの目指すべきものがおぼろげながら見えてきた撮影でした。

「もう、MotheRsはこれだけ撮っていけばいいんじゃないの?」
自分はそんなことを思ったりしたものです。

しかし本当の意味でマルチプル・オーガズムというものを理解したのはもっとあとのことなんですが、それはおいおい書いていくことにしましょう。